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なぜテック右派は三島由紀夫に惹かれるのか2026年06月29日 13時41分27秒

【日本2050:なぜテック右派は三島由紀夫に惹かれるのか】2050年を考える/反リベラルの台頭/新国家のモデルは満州国/シリコンバレーと生の衰弱/100年前との類似点/日本らしさを見直す【先崎彰容】
という動画が、Youtubeに公開されている。(PIVOT公式チャンネル、6月25日)

 思想史家先崎彰容氏の講義である。面白いというか興味深いので、二度見た。

 先崎氏はご存じの通り、現代保守思想をリードしている思想家であり論客である。単なる保守ではない。今どきの浅薄なリベラルに対する反措定でもない。日本人の長い歴史に裏打ちされた、幅の広い思想家である。
 数年前に頂点に達したグローバリズムが崩壊し、旧来の資本主義と民主主義が壊滅した。だからといって、共産主義や社会主義が台頭してくるわけではない。共産主義は、近代のあだ花であり、ピエロだ。身勝手な共産主義があったおかげで、旧来の資本主義と民主主義が発達してきたともいえる。

 しかし、この19世紀・20世紀型の資本主義はもう終わりだ。それを予感、あるいは実感させるのが、アメリカのトランプ大統領の動きであろう。あまりにも独断専行だが、米議会も民主党も、そして身内の共和党の一部も、なかなかトランプの暴走をとめることができない。

 それを、先崎は「近代システムが終わるかどうかの過渡期にいる」と分析する。また、トランプ思想の背後にある、テック右派の動きに注目したいという。テック右派とは、生成AIなどの最新テクノロジーを駆使した研究者やビジネスパーソンの間にある、独自のネオ保守思想だ。資本主義よりは、優れた人物による王政がいいのではないかとまで言い切る流れだ。
 ぼくは、これはこれで危険だと思っている。こういう極端な格差や階層化は絶対に避けるべきだと思うが、こういう思想が頭をもちあげてきているのだ、昨今の生成AIやSNSなど最先端テクノロジーをめぐる状況だ。

 そういう思想をさらに推し進めるたところに、日本の天才作家三島由紀夫を高く評価したり、満州国を肯定したりする思想があるという。「新たな国家を作ることによって(新しい)自由を表現したいということのようだ。
 三島由紀夫はともかく、満州国云々の話は危険すぎるのではないだろうか。こういったテクノロジーに万能感を持った、しかもそれで巨万の富を手にしたごくごく一部の「エリート」の危険な独裁主義ではないのか。生成AIだって、われわれ一般ユーザーのリソースをただで利用した結果ではないのか。これはテック時代の新しい搾取ともいえないか。

 ともかく日本の良いところを見直すことは非常に大切なことだが、それがあらたな戦前を招き。暗い社会を呼び起こすのは勘弁してもらいたい。

 いずれにしろ、社会は大きな地響きを立てて再構築されようとしている。ひとりひとりが強い自覚をもって変化を感じ適切に対応できるだけの知恵をつけておきたいものだ。そういう意味で、この先崎先生の動画は、素晴らしい問題提起をしていると思う。



 動画のなかでとりあげている参考図書は次の通り。

『ネオ君主論』カーティス・ヤーヴィン、PHP研究所
『テクノロジカル・リパブリック』アレクサンダー・C・カーブ、日本経済新聞出版
『リベラリズムはなぜ失敗したのか』パトリック・J・デニーン、原書房