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「本が売れない」って本当か?2009年02月28日 22時24分13秒

「本が売れない」
この言葉が、出版業界でしばしば口に出る。
しかし、ほんとに本は売れないのか。もちろん数字の上では、一部のベストセラーを除くと、ほんと売れない。
売れないのは、読者が本から離れていっているわけではないと思う。この不況下でも、書店には多くの人が来ているし、時間帯によってはレジに列をつくっている。

本が売れないのは、企画力に問題がある場合もあるが、流通・販売のシステムにも大きな問題がある。もうこれは、何年も前から指摘されていることだが、出版点数が多すぎて、全国の書店の棚の収容能力をはるかに超えてしまっている。これでは、確かに置きたくても置けない。そのため、取次会社では、売れそうな書店に重点的に配本することになる。

新刊書の見本が印刷所から刷り上がってくると、出版社の販売担当者が、日販・トーハンといった取次会社の窓口へ持っていって、取り扱い部数を決めてもらう。取次の担当者は、タイトル・著者名・内容を見て、部数を決める。よほど売れそうな本以外は、驚くほどの少部数しか引き取ってもらえない。数日後に、決定した部数が印刷会社から取次会社に運ばれ、全国の書店に配本される。

書店では、配本されてきた本を棚に並べても、次々に新しい配本があるため、長期間、棚に並べておくことができない。店長が売れないと判断した本は、並べられることもなく返本されることもある。そうなれば、せっかくの新刊本も、読者の目に触れることなく版元の倉庫に戻っていくことになる。

本が売れるためには、読者への露出をいかに多くするかということが大切だ。読者の目にふれない限り、その本は存在しないも同然なのだ。

そこで、ぼくは提案したい。書店は、もっと新刊書を重点的に棚に並べたらどうか。書店は、知識の集積所であるとともに、新しい情報の入手場所でもある。新刊を重点的に売る書店があってもいいはずだ。そして、出来る限り、長く棚に並べていただく。これが、読者に対する露出度を上げる一つの方法ではないかと思う。

ぼくの本は、発行直後は、たいていの書店で平積みにしてもらえるが、数週間も続かないうちに消えていることが多い。小さな書店になると、雑誌の影にかくれて1冊だけ置いてあることもある。これではあまりにも悲しい。

また、本をつくるとき、版元が悩むのは、書店のどの棚においてもらえるかということだ。科学書なら科学の棚がいいのだが、できたら一般書の棚にも置いてほしいという場合がある。
そういうときでも、新刊書というくくりで書店においてもらえば、あまり区分に悩む必要がなくなる。

そういうわけで、最近は、本の最終ステージである書店という販売の現場にも興味がある。だれかスポンサーがあれば、本屋さんをやりたいくらいだ。
もっともっと、売れる方法があると思うんだけどな。
本をもっと読んでもらいたいんですよ。

とりあえず、ぼくの本を売ってください。よろしく、全国の書店の皆様。

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