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陸自ヘリ下地島空港近くで消えた2023年04月09日 13時45分39秒

 4月6日15時54分頃、陸上自衛隊のヘリコプターが下地島空港の東北約3マイルほど、伊良部島の北端から0.7マイルほどの場所でレーダーから消えました。

 宮古島北部の池間島の北端から1マイルほどの海上で破損したローターブレードが発見され、その南西方向に、進行方向に沿うように、ほぼ1マイル間隔でヘリの窓枠、開いてない救命ボートが発見され、ドアの一部はローターブレードが発見された場所から北北西1マイルほどのところで引き揚げられています。(NHKニュースより)

 このヘリは、陸上自衛隊のUH-60JAで、15時46分に宮古島駐屯地(宮古空港の南東3.7km)を離陸した後、北上し、池間島の北の海岸線あたりで左に旋回、下地島空港方面に向かい、下地島空港から3マイル北東の地点でレーダーから消えています。
 上の図で、出発地点をA、最初の変針点をB、池間島上空で緩やかな左旋回をしている中央のあたりをC、レーダーから消えた(墜落?)地点をDとするとコースは次のようになります。

 巡航速度を90ノットとして、

A-B 針路(磁方位)002°・距離4.2マイル・所要時間2.8分
B-C 針路(磁方位)321°・距離7.8マイル・所要時間5.2分
C-D 針路(磁方位)233°・距離5マイル・所要時間3分

 高度は目撃写真等と飛行目的(地形観測)から見て、800から1000フィートくらいと思われます。墜落までの飛行距離は約17マイル、飛行時間は10分ほどです。

 この時刻のMETARは次のとおり。

宮古空港
ROMY 060700Z 19013KT 9999 SCT020 BKN160 25/20 Q1011

下地島空港
RORS 060700Z 19010KT 160V230 9999 FEW019 BKN170 26/21 Q1011

 16時の時点で、南風がやや強め、視程10km以上、雲は問題なし。

 気になるのは漂流物の発見位置ですが、もしも池間島上空でブレードが破損したのならそれ以上は飛べません。しかし、実際は下地島空港まで3マイルほどの地点まで来ているし、5マイルでは、下地島のタワーとコンタクトしているようです。たぶん通常の、エンターコントロールゾーンの通信だと思われます。漂流物は海流で流されたのかもしれません。

 ATCからみても何の問題もなく下地島空港の管制圏に入っているのに、そのすぐあと、空港まで2.5から3マイルの地点で墜落しています。

 今の段階では、事故原因はまったくの謎です。レーダーから消えたという記事の「レーダー」がどこのレーダーなのかはわかりませんが、複数のレーダーで位置・高度・速度等をモニターしていたはずなので、レーダーの記録を解析すればもう少し詳しい状況がわかるでしょう。

 【追加情報】ELTは作動していなかった模様。一定以上の大きな荷重がかかると緊急信号を自動発信する装置なのですが。
 緊急事態を伝える、トランスポンダーの7700も発信しなかった模様。低高度で急な異変がおこったのでしょう。

 掲載写真は、NHKニュースの画像をキャプチャしたものです。報道の範囲内での引用です。

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