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ボイス(声)による航空管制はもう限界2015年06月04日 16時12分25秒

 那覇空港で、3日午後1時25分頃、重大インシデントが発生した。
 ランウエイ18の末端で離陸許可を待っていた新千歳行きの全日空1694便(B737)が離陸滑走を始めたところ、前方を航空自衛隊のヘリコプター(CH-46)が横切ったため、離陸を中断し滑走路の中程で停止した。
 その直後(報道によると10秒後)、全日空機がまだ滑走路上にいるときに、進入中であった日本トランスオーシャン機(B737)が着陸してしまった。
 ちょっと間違えると大事故になった重大インシデントである。

 マスコミ報道でしか情報は得てないが、全日空機に対して出された離陸許可を、自衛隊機が自分に出されたものと勘違いして離陸したようだ。一方の全日空機は、自分に対する離陸許可であったので、離陸滑走を開始したというわけだ。

 自衛隊機も全日空機も、管制指示をきちんとリードバックし、管制官がそれを確認していれば防げた事案である。このようなことはあってはならないことであるが、実際はけっこうおこっている。
 とくにトラフィックが混雑している空港では管制官の仕事量が多く、またパイロットも、トラフィックが多いと気を使うので、ミスが増えるのだろう。

 よくわからないのが、トランスオーシャン機が、全日空機が滑走路上にいるにもかかわらず着陸してしまったことだ。管制官は、ゴーアラウンドを指示したという。しかし、パイロット側は指示を受けたのは着陸してからだったと食い違いをみせている。

 当日は天候は良好で視程が良かったから、進入中に滑走路がしっかり見えていたはずだ。滑走路まで1マイル(NM)くらいの距離になれば、滑走路上の飛行機ははっきり見えたはずだ(もっと遠くからでも見える)。なぜ降りてしまったのか。両機の間隔(距離及び時間)からみると、着陸許可は出ていないように思える。

 報道されている情報だけではこの程度しかわからない。だが、重大インシデントではあるものの、それほど複雑な原因で起こったものではないので、交信記録を調べれば、原因はすぐにわかるだろう。
 おそらく管制官にも3機のパイロットのどちらにも問題があったと思われる。

 このような事案に接すると、もはやボイス(声)による航空管制は限界に来ているのではないかと思える。データリンクとオートパイロットを使って、最後の着陸操作以外は、自動化すべきではないだろうか。
 それと、経済効率を重視するあまり、トラフィックをつめこみすぎであると思う。関東であれば、羽田に集中させるのではなく、羽田、成田、場合によっては静岡富士山、福島あたりにも分散させたほうがいいのではないだろうか。
 また、東京都心部を低高度で飛行させるのは、やはり危険であると思う。
 
 次世代の航空管制であるNextGenやCARATSの早期の運用開始が望まれる。