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千年先でも読めるデジタル情報とは2015年02月24日 00時19分49秒

 THE WALL STREET JOURNALに『「インターネットの父」が警告する「デジタル暗黒時代」』という記事が掲載されています。(2015年2月20日)
 インターネットの基本的なプロトコルであるTCP/IPの発明者の一人であるヴィントン・サーフ氏は、「21世紀は将来の歴史家から忘れ去られるだろう」(同記事より)と指摘しています。
 なぜかというと、百年後でも千年後でも読み取れるようなデジタル情報のフォーマットと保存の技術が存在しないからです。デジタル情報は劣化せず不滅であるように思われがちですが、事実はまったく正反対なのです。

 たとえば、数年前から話題になっている電子書籍が、いまだに普及しないのは、フォーマットと端末の継続性・汎用性が保証されていないからです。この問題を解決しない限り電子書籍は紙の書籍に置き換わることはできません。

 デジタル情報を保存し継続性を持たせるには、入れ物とフォーマットの両方を考えないといけません。入れ物とは物理的装置。フォーマットはデータをビットで表し書き込む方式のことです。
 物理的な記録装置としては、テープ、フロッピー、光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリーと進化してきましたが、テープとフロッピーは、ほとんど使われていません。
 ハードディスクは、長く使われていますが、50年以上も後で読み取れるという保証はありません。メーカー保証は5年だったと思います。データを書き込むプロトコルもどんどん変わっていきます。

 フォーマットについては、みなさんよく苦労されているとおり、古いバージョンのワードで作成した文書がきちんと表示されなくなったり、読み込みそのものができなかったりということは頻繁に起こっています。とくに酷いのは動画で、10年以上も前に作成した動画では、再生できなくなっているものがたくさんあります。

 というわけで、千年先でも必ず読み取ることができる表示・保存の方法の開発は必須ということです。
 
 そう考えると、紙というのは非常に便利です。見ただけで、絵であろうが文字であろうがすぐに内容を理解できますし、保存環境がよければ、千年以上持ちます。
 また紙は情報を書き込むスペースが限られますので、物事の要点のみを無駄なく書き込まれます。電子媒体に膨大な情報をためこんで検索で目的の情報を探し出すのは確かに便利です。
 しかし、未来に残すのはそんな不安定なノイズだらけの情報ではなく、紙に記された簡潔な情報の方が千年後の考古学者・歴史家のためになるのではないでしょうか。

 ま、ほとんどの人は目先のことや自分が生きている間のことにしか興味はないのでしょうが。