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NECが空飛ぶクルマの浮上実験 実現の可能性は2019年08月10日 20時46分12秒

NECは8月5日、CARTIVATOR(カーティベーター)という空飛ぶクルマの開発を行っている団体とともに、空飛ぶクルマの試作機の浮上実験に成功したと発表した。

空飛ぶクルマについては、経済産業省と国土交通省が「空の移動革命に向けた官民協議会」を設置するなど国も積極的な取り組みを見せている。

背景には、海外のエアバスやボーイングが空飛ぶクルマに積極的な取り組みを見せていることがある。
また、大手IT企業の中には、無人の空飛ぶタクシーや宅配ドローンも計画しており、超低高度空域のビジネス化が注目されている。

今回のNECのプレスリリースを読むと、無人の試作機はカーティベーター)が開発し、NECは、実際の航空機の新航空管制システムを開発してきた勢いを利用して、ドローンの管制・管理にも乗り出そうとしているようだ。

空飛ぶクルマというコンセプトは話題性があるので、多くの事業者が興味を示しているようだが、無人機による宅配や小型物品の輸送用途では広がっていくと思うが、人の乗せるドローンは敷居が高すぎる。

何といっても安全性が担保されなければならない。機体やエンジンの安全性・耐久性は言うまでもなく、環境の影響も考慮しなければならない。
例えば、気象の影響を受けやすい。ドローンを発展させたような小さな「クルマ?」は揺れやすいだろう。

上空は気流が安定してることの方が稀だ。特に低高度は上昇気流の影響で気流が悪いことの方が多い。これは実際に飛行している者でないとなかなか実感できないと思う。低高度では、上昇気流や下降気流の影響で休むことなく揺れ続ける。

もう一つ、プロペラが4個ついてるドローンで、飛行機のようなピッチ・ロール・ヨーの3軸で調和の取れた旋回をするのは、難しいのではないだろうか。
3軸の調和がとれていないと、極めて乗り心地が悪く、酔う危険性もある。

というわけで、空飛ぶクルマというのは、ドローンから発展させるのはあまり現実的ではないのではない。
小型飛行機と同じような飛行ができるパフォーマンスを持つ「空飛ぶクルマ」ができればいいが、これまでアメリカ等でいろいろ試作されてきているが、どれもうまくいっていない。

それともう一つ、人が乗る「空飛ぶクルマ」は、航空法上「航空機」にあたるので、国土交通省航空局が、そう簡単には認可しない。

小型のドローンタイプの無人機は、小型貨物輸送を目的として、ルートと高度を指定して行うことになるだろう。こういった分野では、ビジネスとして伸びる可能性が高いが、タクシーのように使える「空飛ぶクルマ」は当分は夢だ。

NECは、航行管理・航空管制の面からサポートしていきたいということのようで、そのアプローチは間違いではない。

もしかしたら、来年の東京オリパラの開会式で、飛ばしてみせようとでもいうのだろうか。話題作りにはいいと思うが、、、