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F-35Aの墜落原因は空間識失調と発表2019年06月11日 00時08分38秒

4月9日午後7時25分頃、青森県東方沖のB(ブラボー)訓練エリアでACM訓練中の航空自衛隊三沢基地所属のF-35Aが墜落した事故について、防衛省は6月10日、パイロットの空間識失調が原因であると発表した。

フライトレコーダーのデータは回収されていないものの、一緒に訓練をしていた僚機に残されたネットワーク上のデータや、地上のレーダーの記録をもとに判断したもの。

それによると、同機は墜落直前の30秒ほどの間に9000メートル(3万フィート)以上の高度から時速1000キロメートル(540ノット)の速度で急降下していたという(以下数字はNHKの報道より引用)。

降下を始める前に、レーダーサイトから、上空にいる米軍機との間隔をあけるため高度を下げるように指示され、続いて左旋回を指示された。

このときに、パイロットは、「ノックイットオフ(訓練終了)」と編隊長としての指示を無線で僚機に対して出している。このときの声の調子は、平常と同じであったというので、本人は、海に向かって急降下しているとは認識していなかったと考えられる。

最終的に、速度は時速1100キロメートル(594ノット)以上になり、そのまま海面に激突したと思われる。

米軍機が何をしていたかは定かではないが、この発表から見ると米軍機は事故とは直接的には関係がないように思える。

僚機のパイロットからの証言が欲しところだが、軍事機密の壁があるので、そう簡単には公表されないだろう。
事故の状況から見て、やはり空間識失調(バーティゴ)と見るのが妥当だろう。
空間識失調というのは、自機の姿勢が把握できなくなることを言う。飛行機の運動とパイロットの感じる動きにズレが生ずるとおこる。たとえば、視程不良で水平線が見えない場合や、強いGや遠心力が繰り返しかかったときなどに起こる。

事故時は、夜間であったので空間識失調が起こりやすい状況ではあった。さらに、F-35A独自のHMDをかぶっていたはずなので、慣れないと(多分)空間識失調を起こしやすい。このHMDはどの方向を向いても、HUDと同様の情報が映し出される。慣れればどってことはないだろうが、勘違いしなくなるためには、かなりの訓練が必要だと思う。

それと、もう一つは、F-35シリーズ独特のタッチパネル方式のグラスディスプレイ。実機のものは当然ながら触れたことはないが、PC用のシミュレータで見る限り、操作が煩雑だ。見たい表示を出すために、何度も
「ボタン」をタッチしなくてはならない。もちろん、これもひとえに慣れの問題であることに変わりはない。
ただ、旧式のディスプレイに慣れているベテランほど操作を間違いやすいのではないかという気がする。自分など、まさにその通りで、旧式計器に慣れ過ぎてしまっているのでこういう最先端機の操縦は無理だろう。(実機を操縦する機会などありえないので、単なる妄想です。)

だいたい、この飛行機は操縦するだけでもけっこう大変なのに、兵器関係のアビオニクスまで操縦しながら操作しなければならない。これは相当なオーバーワークなのではないか。
複座仕様にして後席に操作員を乗せるか、思い切って無人のセンシングエアクラフトにした方が効率はいいかもしれない。

いろいろと斬新すぎる飛行機なので、これからも慎重な訓練が望まれる。

写真は、海面に向かって高速で急降下しているところ。海面がわずかに光って空のように見える。パイロットは、これを空(上)と思い込んでいたのだろうか。

このような錯視はけっこうあるものだ。自分もF-15EでACMの訓練中に数回、海面に激突したことがある。必死で敵機を追いかけたり、急旋回で逃げ回ったりしていると、上昇しているつもりで降下していることがある。1万フィートなんかあっと言う間である。
しかも、高速で急降下していると運動エネルギーが大きくなって操縦桿を引こうにも引けなくなる。無理に引くとハイGがかかり機体が壊れる。
(PCのゲームの話です。そっとしておいてやってくださいw)