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未来の航空機の主流は無人機2012年02月07日 12時26分38秒

ペンシルバニア大学GRASP研究所(General Robotics, Automation, Sensing and Perception)で開発している自律飛行型極小ヘリの最新動画が、同研究所のウエブサイトで公開されている。YouTubeでもNano Quadrotorsで検索すると出てくる。
昨年もいくつかの動画が公開されていたが、今回は、ますます磨きがかかって、より高度な自律飛行ができるようになっている。

この極小ヘリは、4個のプロペラを装備した直径10数cmの小型ラジコンヘリだ。本体から十字形に支柱が出ていて、その先端に二枚羽のローターがついている。これを電動モーターで回して推力を得ている。4つのプロペラがあるので、それぞれを個別に制御することで、どのような姿勢でもとることができる。背面・急旋回・急上昇・ホバリングも軽々とできる。
また、機体どうしで情報交換ができるようになっているため、他機と連繋した飛行が可能だ。

公開されたビデオでは、20機が同時に編隊飛行し、隊型を自由に変えるようすや、空中に投げたリングを通過するようす、さらに、構造物を吊り上げて、骨組みを組み立てることまでやっている。

将来の航空機は、かなりの部分、こういった多翼型回転翼機に置き換わっていくかもしれない。
旅客や貨物を運ぶ用途には、向いていないが、輸送機以外の用途、たとえば、写真撮影・報道・捜索救難などは、無人の多翼型回転翼機に置き換えることが可能だ。
また、無人ではなく、人が乗って、そのような業務を行うこともできる。しかし、その場合は、急激な機動はできないから、多翼型回転翼機のポテンシャルを十分に活かすことはできない。
課題は、燃料(バッテリー)がどれだけ持つか、ということだ。
そう考えると、近距離における無人の観測機として威力を発揮するのではないだろうか。

とくに威力を発揮しそうなのは、災害時だ。上空から無人機で観測すると、人間が行けないようなところでもいける。また、軍用の無人偵察機としても活躍が期待される。

「大きなもので一気に」から「小さなモノをたくさん」という方向への転換だろう。社会の仕組みも、一極集中から分散・共有の時代に変わろうとしている。航空機もこの流れに逆らえないのかもしれない。

無人機が、これからの航空機のひとつのトレンドになるのはまちがいないだろう。