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地上デジタル放送の問題点2009年02月01日 21時10分59秒

テレビの現行アナログ放送は、2011年7月24日に終了し、デジタル放送(地上デジタル放送)に移行する予定だ。しかし、それまでに、アナログテレビをすべてデジタル対応テレビに換えるのは不可能ではないかと多くの人がみている。

それはそれとして、今、ここで書きたいのは、ハイビジョンの定義である。ハイビジョンは720p(1280×720の解像度を持ち順次操作で表示する映像)以上の解像度を持つものをハイビジョンと定義している。現行の標準画質(SD)に比べれば、画像が鮮明なので、720p以上をハイビジョンと言うのはかまわない。
しかし、ハイビジョンはこれだけでなく、1440×1080iと1920×1080iがある。普通にハイビジョンというと、この二つを指す。地上デジタルでは前者を使い、BSデジタルは後者である。当然、後者のほうが画質がいい。
地上デジタル放送が、1440×1080iで行われているのは、地上波では、アナログ時代の周波数割当てが1チャンネルあたり約6MHz幅であり、これをそのまま流用してハイビジョン放送を行おうとしたため、6MHz幅では、送れる情報量に限界があり、1440×1080iでしか放送できないからである。1440×1080iでは、当然、ハイビジョンのアスペクト比である16:9にはならない。そのため、横を拡大して16:9で表示したときに正しい映像が表示されるようにしている。
拡大表示しても、1440×1080iの総画素数は約156万画素、1920×1080iの総画素数は約200万画素なので、後者のほうが圧倒的に解像度が高い。ただし、BSデジタルも、多くのコンテンツは1440×1080iで制作されているので、BSデジタルのメリットが活かされているとは言えない。

以上は技術的な話なので、それはそれでよい。

問題は、ハイビジョンには、1440×1080iと1920×1080iという二つの規格があり、地上デジタルは、1440×1080iでしか放送できないということをほとんどまったく告知していなかった点だ。
薄型液晶テレビも初期の頃は、ほとんどが1920×1080の解像度を持ってはいなかった。フルハイビジョンとかフルスペックハイビジョンという名称で、1920×1080の解像度を持つ液晶パネルを搭載したテレビが普及し始めたのは、2007年後半くらいからである。
現在でも、10万円を切る低価格の薄型液晶テレビの解像度は、1366×768しかない。
この’低解像度’ハイビジョンテレビとフルハイビジョンテレビを並べて視聴すると、解像度の違いははっきりとわかる。

ハイビジョン放送が高画質というのなら、実際に放送されている解像度及びテレビの解像度に幾種類かあり、それぞれにどのような違いがあるかといったことは告知しておくべきだったのではないかと思う。

地上デジタル放送は、B-CAS問題も含め、全体的に不明瞭な点があまりにも多い。
こういったことが、ただでさえ、コンテンツ制作力が低下しているテレビから視聴者が離れるのを加速していくのではないだろうか。